2006年7月アーカイブ

今まで、花のシリーズとして、小田代ガ原と戦場ヶ原に咲く花をいろいろ取り上げてきました。
虫眼鏡がなければよく見えないような、数ミリという小さくて可憐な花から、鮮やかな紫そして青といった見た目も華やかな、奥日光を代表する花を紹介してきました。
だから、読者におかれては、奥日光は色とりどりの美しい花であふれかえる桃源郷というイメージを抱いているのではないかと思います。そのようなイメージを持っていただくのは管理人として嬉しい限りであり、ひとりでも多くの方に、日光を訪れて日光の自然の美しさを堪能していただきたいと望んでいます。
しかし、今日紹介する花は、えっ、これも奥日光に咲く花? と驚くに違いないほど、“日光離れ”していることから、あまり紹介したくはないのですが、それでは片手落ちになると思い、これも奥日光に咲く花であるという事実をわかってもらうつもりで紹介することにします。

背丈1.5メートル、木の幹といった方がよさそうなぶっとい茎、あまり日が差さない湿気の多い地形に生え直径10センチもあるラッパ型の花が1本の茎に10数個、と聞いてどんな植物を想像するでしょうか?
先ずは写真をご覧ください。
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オオウバユリ、和名を大姥百合。
名前からして妖怪的であるし、他の植物がひっそりと控え目に佇む中に、巨大な茎がにょきっと立っているのはなにか不気味でもあります。
名の由来を調べて驚きはいっそう増しました。花が咲く前には大きな葉がついていたのに、花が咲くのとほぼ同時に、自分の役割は終わったかのごとく落ちてしまい、後に残るのは大きな花だけ。
これを、乳飲み子に乳を与える役目を与えられ、子が成長するにつれ、歯が抜け落ちるほどに身体が衰弱してしまう乳母に例えて、乳母(姥)百合と名付けたそうな。
名の由来を聞くと、この不気味な植物が物悲しく思えてきます。
その姥百合は、花の数が10ヶ程度なのに対して、オオウバユリの花は10数ヶ。多いものになると20ヶも付くそうです。

花のピークを迎えている小田代ガ原は、紫やピンク、黄色や白の花が咲き乱れています。
特に、今(本当の今)はノアザミやホザキシモツケ、ノハナショウブ、イブキトラノオ。カラマツソウといった背丈が高く、色鮮やかな花が小田代ガ原全体を埋め尽くし、それは見事というほかにありません。
特に、茎が長く、先端にひとつだけ紫色の花を咲かすノアザミは、数も多いことから小田代ガ原でよく目立ちます。
小田代ガ原に生育するアザミは、ノアザミとニッコウアザミ、トネアザミの3種類ありますが、同じアザミでも特徴が異なるため、見分けは簡単。
そのうち、ノアザミとニッコウアザミを写真でご紹介しましょう。

写真左はノアザミで、上で書いたように茎が長く、先端にひとつだけ紫色の花を咲かせます。花の根本をつつむ総苞とよばれる部分を触ると少し粘つく感じがします。一方のニッコウアザミは、1本の茎が上の方で2〜3本に分岐し、花も同じ数だけ咲きます。
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トネアザミは8月に咲くので、今は葉しか見ることができないのと、両者に比べると大柄で背丈は1メートルをはるかに超すのでその違いはすぐにわかります。

標高2000メートルの山が連なる奥日光は、太平洋の湿った空気が山に遮られ、下界が雨でも山の裏側、戦場ヶ原や小田代ガ原では晴れの日が多いのが特徴です。毎木曜日、花の開花状況を調べるために訪れた小田代ガ原は、晴とは言えないまでもまずまずのお天気。花のピークを迎え、お花畑に咲く可憐や花々をじっくり堪能してきました。
午後になって場所を湯元に変え、いざ歩き出そうとしたとたんに天気は一転し、激しい雨。急いで雨具を取り出したので濡れずにすんだものの、カメラも出せず、ノートに記録も取れず、ただ歩いただけ。

話を戦場ヶ原に戻し、楽しくも怖い話題を。
奥日光に広く分布しているウラジロモミ。この木は、どうしたわけかとても不幸な木で、シカなどのいい餌となり、その痕跡があちこちで見られます。草食動物のシカは、笹の葉や花芽を常食とし、餌が不足すると木の樹皮を剥き、すぐ下にある甘い繊維質の部分を食べるのですが、繊維質部分がすべてなくなってしまうと、地中からの栄養分を吸い上げることができなくなって、数年後には枯れてしまいます。これをシカによる食害といって、奥日光にとっては頭の痛い問題となっています。
加害者はシカだけではありません。
写真は奥日光に生息するクマによる害です。
クマハギという現象で、その目的はシカと同様、繊維質を食べるためといわれたり、爪を研ぐためともいわれていますが、写真を見ただけでその破壊力がわかります。
怖いのはその破壊力ではなく、これがハイキングコース脇で行われたということ。場所は赤沼から戦場ヶ原に入って青木橋のすぐ手前。
もちろん、人一倍? 気の弱いクマのこと。人の気配を察したら姿を現すことはないので、夜間の行動だと推測されますが、私たちの身近な場所にクマがいるのだということを、人間が認識して注意しなければならないという好例でした。
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きれいな花が一面に咲きほこる小田代ガ原を歩いていると、花に目を奪われて見落としてしまいますが、小さな生命体が活動している様子がはっきり確認できます。この時期特に多いのが、小さな昆虫たちの活動です。
花から目を転じると、写真のような現象がかなり多く確認できます。
写真は一枚の笹の葉を撮ったものですが、直径2〜3ミリ程度の小さい穴が、まるで寸法を測ったかのように開いていますね。
だれかのいたずら?
いいえ、小さな生命体の営みの跡なんですよ。
お手元に薄い紙があったら、くるくるっと何重にも巻いてみてください。
さあ、今度は、巻いた紙のどこでもいいので、千枚通しやキリのような先端が尖った金物で紙をつついて穴を開けてください。もうおわかりでしょ?
紙を元のように開いてみると、笹の葉と同じような穴が開いているのがわかります。
穴を開けた正体はホソハマキモドキという蛾なのです。
ここから先はいくつかの推測を元に書くのですが、一説によると、ホソハマキモドキは笹の葉がまだ巻かれているときに、卵管を差し込んで卵を産み付けるので、葉の穴はその際にできたものという説。蛾の卵管など1ミリにも満たないと思いますが、葉の成長と共に、穴も拡大するのでしょう。
もうひとつは、葉が巻かれている状態すなわち、葉が柔らかい状態の方が美味しいので餌として食べるという説。
どちらの説も説得力があるのですが、私は前者の説を支持したい。
前者は種族保存のための営みであり、卵を雨や外敵からしっかり守るための素晴らしい知恵が隠されているではありませんか。なんとも神秘的で、想像力が膨らみます。

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奥日光のハイキングコースに咲く花が見頃を迎えています。
7月にピークを迎えますので、これから花の観賞にお出かけになる方への参考に、花が咲く場所と咲いている期間を一覧にしました。
また、きれいに印刷できるPDF版も用意しましたのでご活用ください。

「奥日光花ごよみ」
http://e-hiking.jp/flower/flower.html

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